2007年11月28日更新
江戸時代、長崎に渡来した南蛮料理「ヒカド」。ポルトガル語の"Picado"「細かく刻む・調理する」という言葉が由来となっています。この料理は、さつまいもをすりおろして、とろみをつけた具だくさんのスープです。さつまいも本来の甘みが他の食材を調和してくれるやさしい味。冬の寒い日に食べればポカポカと体があたたまります。
安土桃山時代、長崎の町にはたくさんの教会が建ち並び、ポルトガル人が多く暮らしていました。長崎っ子がポルトガル人との交流のなかで、異国のさまざまな料理を教えてもらっていたとしても不思議ではありません。
1614年に発布されたキリスト教の禁教令によって、宣教師たちは国外に追放されることになり、ポルトガル料理を作ることはなくなってしまいましたが、入手できなくなったお肉を魚に代用したりしてアレンジを加えながら代々受け継がれた味は、いつしか長崎の郷土料理となりました。
江戸中期の料理本を読むと、「ヒカド」は中国風の調理をする南蛮料理として紹介されています。材料には、鶏(または鴨)、イカ、エビ、大根が使われていました。次第に庶民にも広まり、具材のアヒルがまぐろに代わり、さつまいもを使っています。
ヒカドの極意はとろみにあり! ポルトガル人はとろみにパンを使っていました。しかし禁教令でパンが入手できなくなり、中国の調理法をヒントに、長崎っ子がさつまいもでとろみをつけることを思いついたのではないでしょうか。さらに『割正録』によると、19世紀の長崎では、すりおろしたさつまいもでとろみをつけると「ススヘイト」、とろみをつけずにサラリとしたスープに仕上げると「ヒカド」と区別していたようです。お好みで楽しんでくださいね。
・カジキマグロ 50g ・豚もも肉 50g ・大根 100g(約1/10本) ・にんじん 40g(約1/2本) ・さつまいも(角切り用) 100g(約1/2本) ・さつまいも(すりおろし用) 50g(約1/4本) ・干ししいたけ 1.6g(約2枚) ・葉ねぎ(青ねぎ) 16g
●マグロに下味する調味料
・塩 1.5g(小さじ3/10) ・酒 2g(少々)
●調味料
・油 少々 ・薄口しょうゆ 12g(小さじ2) ・塩 1g(小さじ1/5) ・酒 20g(小さじ4) ・水 440g ・かつお節 4g ・だし昆布 3g
マグロを角切りにして、塩と酒で下味をつけます。
大根・さつまいも・干ししいたけは1.5センチの角切り、豚もも肉は食べやすい大きさに、にんじんは厚めのいちょう切り、葉ねぎは小口切りにします。
鍋に少量の油を入れて、(1)で下味をつけたマグロの角切りを鍋に入れます。表面に焼色がついてきたら、いったん鍋からおろします。同じ鍋で、豚肉・にんじん・干ししいたけを炒めます。大根・さつまいもも加えて炒めたら、だし汁を入れます。
グツグツと沸騰してきたらアクを取り除いて、マグロを加えましょう。
すりおろしたさつまいもを鍋に入れます。火の通りが早いので、アッという間にトロミがでてきますよ。
味をみながら、酒・薄口しょうゆ・塩で味をつけます。コトコトと煮込んで、器に盛り付けて、葉ねぎをちらしたら完成です。
さぁ、いただきましょう!
素朴でやさしい味わいですが、長崎で採れた新鮮な海の幸・山の幸の香りが、口いっぱいに広がります。とろみに使ったさつまいもが、魚と肉と野菜のうまみを調和してくれています。カラフルな具材と透き通ったさつまいもの黄色いスープを一口いただくと、教会のステンドグラスのやさしい光を、ふと思い出してしまいました。キリシタン文化から生まれたヒカドを作ってみませんか!


「ながさき歴史散歩」で紹介した散策スポットのデータなど旅先で見たい情報や、遊んで学べる歴史クイズが楽しめます。
http://tabinaga.jp/m