たびながコラム

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五島の教会を巡って

歴史の遺産・教会のある風景を訪ねて感じたこと

 ザビエルが平戸にキリスト教を伝えて15年後のこと。宣教師アルメイダとロレンソが五島を訪れ、広めたキリスト教。五島では、16世紀と19世紀の時代を超えてキリシタン弾圧という同じ悲劇が繰り返されました。壮絶な殉教を目の前に、しまの人たちは耐えて守るという強い信仰を心に誓ったのではないでしょうか。五島巡礼の旅は、キリシタンの歴史を学ぶと同時に、それまでの「日本」を振り返る旅でもありました。


教会堂を巡るきっかけは?

 五島の主な教会を訪ねるだけでも、それらが辺鄙なところにばかり建っていることに誰もが気付くと思います。迫害を逃れ、静かな信仰の地を求めて海を渡ったキリシタンたちにとって、五島は天国のはずでした。しかし恵まれた場所に堂々と住めるわけもなく、海辺の痩せた土地にへばりつくような暮らしを余儀なくされたといいます。「五島天国行ってみて地獄」と唄われるほど、困難を極めた移住生活。現在でも交通アクセスが困難な場所に、これほどたくさんのすばらしい教会堂が残されていることを考えるとき、当時の苦労とそれを乗り越える信徒の皆さんの熱い心がありありと伝わってくるようです。

ライフワーク

1.教会堂は祈りの場。聖なる場所では私語をつつしんで!

旅する長崎学

 「その後、長崎市内にある某百貨店に勤めました。広報担当という仕事のおかげで、改めて長崎を見つめ直すことができたのです。階段脇のスペースを活かしての作品展示は、来店してくださったお客さまに見てもらえるステップギャラリーとして開放していました。展示の企画も、お預かりした作品の展示のほかに、自分たちの手で長崎の情報発信をしていこうという、まさに長崎の歴史テーマとしたものもおこなっていました。その中のひとつに「長崎の教会」というテーマがあって、そこで思い切って長崎の教会を見てまわったんです。この展示を通して「長崎は面白い!」って思い始めました。それで、長崎の面白さを伝える仕事に携わりたいと思った矢先に、長崎の教会ガイド『長崎游学2』(長崎文献社)という本をつくる仕事に出会ったんです。この、ガイドブックをつくりながら、教会のことをかなり勉強させてもらったんですよ。」

 出会った地元の人が、「辺鄙な場所に建っているからこそ価値があるのですよ」と言っていました。もうすぐ建設から100年を迎える教会堂と、そこに伝わる先祖たちの思いを大切に守ってきているのだなあと感動しました。当時、教会堂を建てるための莫大な費用をどこから捻出するか。敬虔な五島の信者たちは、食べる物を減らしてまでも教会建築のために奉仕したといいます。ある島では出稼ぎに行ったまま教会堂の完成を見る事がなかった人、完成するころには財産を使い果たして島を出るしかなかった人も多かったとか。世界遺産登録への動きを通して、教会巡りを楽しむ人は増えると思うけれど、建物だけを見るのではなく、ぜひその教会堂が建てられるまでの話にも耳を傾けてほしいと思います。そして、ザビエルが日本にキリスト教を伝えて以来450年以上のキリシタンの歴史と、実に多くの犠牲者のうえに、今の信仰の自由が成り立っているのだと感じていただければうれしいです。

 かつてはキリシタンの天国といわれた島も過疎高齢化が進み、実際には維持が難しくなっている教会堂も少なくありません。一日数往復しかないバスを待つお年寄りの姿が目に留まります。 旅の終わりに久賀島を案内して頂いた木口汽船の木口さんが「これらの教会群が世界遺産になることで、観光客が増える事も嬉しいけれど、世界中から巡礼者が集まる巡礼の島になるといいですね」と話されていたのがとても印象的でした。

江崎博子



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