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長崎十六聖人殉教者

ー聖トマス西と15殉教者ー

 1597年に西坂の丘で26人が殉教した事件を皮切りに、56人が西坂で処刑された1622年の元和の大殉教、1627年頃に始まった雲仙地獄での拷問など、残酷さを極める迫害によって次々とキリシタンたちの多くの命が奪われました。 領民は宣教師をかくまうだけでも重罪とみなされて処罰が下されたというキリシタン禁教の時代がありました。

 今回訪れた長崎市の中町教会は、長崎十六聖人に捧げられています。 この聖トマス西と十五殉教者16人は、徳川幕府が支配した江戸時代、厳しい禁教令のなかで、1633年から1637年にかけて、長崎の西坂の丘で穴吊りや火あぶり、水責めの刑に耐えながら信仰を守り通して殉教した人たちです。

 16人のほとんどがドミニコ会で、司祭が9人、修道士2人、大村のマリナと長崎のマグダレナという女性が2人、信徒が3人でした。 出生地でいうと、日本人が9人、外国人が7人。 その7人は、スペイン人司祭アントニオ・ゴンザレスら4人、フランス人司祭のギョーム・クルテ、イタリア人司祭のヨルダノ・アンサロネ、そしてフィリピン人で最初の聖人となった信徒ロレンソ・ルイスです。

 16人のひとり「聖トマス西」は、生月出身で、日本人で初めてドミニコ会の司祭になった人物です。 彼は、少年時代を有馬のセミナリヨで過ごし、伝道士として教会で働いていましたが、1614年マカオに追放されます。 しかし2年後に帰国した長崎でドミニコ会の神父と交流をもちながら活動を続け、1624年にドミニコ会に入会し、1626年フィリピンのマニラで司祭となりました。 台湾や琉球で布教活動をおこない、1629年には長崎に潜入し、苦労の生活を強いられながらも密かにミサを捧げたりして信徒を導いていました。 ともに宣教していた神父を看病していたところを捕らえられ、過酷な拷問にさらされますが信仰を棄てず、1634年、西坂の丘で穴吊りの刑によって44歳で殉教しました。 聖トマス西が殉教した1634年というと、幕府の命令によって長崎の商人が出島の築造に着手し、また諏訪神社の例祭・長崎くんちがはじまった年でもありました。
「長崎十六聖人(聖トマス西と15殉教者)」は、1987年(昭和62)、時の教皇ヨハネ・パウロ2世によって聖人に列せられました。 日本との関係でいえば、1597年に西坂で殉教した「日本二十六聖人殉教者」が1862年に列聖されて以来、125年ぶりのことでした。
現在、白い尖塔が長崎の町並みと青い空に映える中町教会には、この16人の殉教者を顕彰する記念碑が建立され、毎年9月の第4日曜日には記念ミサが行われています。

 この2007年6月、188人の日本人殉教者(ペトロ岐部と187殉教者)が福者として列せられることが、教皇ベネディクト16世によって承認されましたが、この中には、聖人「聖トマス西」の父であるガスパル西玄可と、その妻ウルスラと息子のジョアン又市が含まれています。 フランシスコ・ザビエルが布教した平戸の松浦藩に属する生月島は、キリシタンの籠手田一族が中心でしたが、実際には平戸に住んでいたので、家臣の西家が代々生月の代官を務めていました。 生月にも迫害が迫り、籠手田氏が信仰を守るために1599年長崎に退去したとき、ガスパル西は職を解かれましたが島を離れず、引退して妻とともに生月の伝道士となり、信仰面でリーダー的な存在であり続けました。 玄可は1609年に生月で殉教し、同じ頃、少し離れたところでその妻ウルスラと息子又市も殉教しています。
先に聖人に列せられた息子「聖トマス西」のゆるぎない信仰は、父ガスパル西玄可が家族全員を導き育てたゆえに生まれたものだったのではないでしょうか。 信仰を貫く強いスピリットが親子のあいだに受け継がれ、離れた地にあっても時を移しても同じ生き方をした・・・。 かけがえのない家族の姿がとても感動的な生月の西家の物語です。

中町教会

明治22年(1889)に建立された教会。 創立者の島田要助神父は、キリシタン大名 大村純忠ゆかりの地として大村藩が治めていた領地内の蔵屋敷の跡地に、日本人のための教会を設立に着手しました。 設計者はフランス人のパピノー神父で、着手してから8年後に完成しました。 創建当初はレンガ造りの赤い建物でしたが、原爆の被害を受け、焼け残った外壁と尖塔を活かして白亜の教会堂へと生まれ変わりました。 昭和62年(1987)に教皇ヨハネ・パウロ2世によって聖人に列せられた長崎十六聖人に、翌年捧げられました。 教会の敷地の一角には、長崎十六聖人殉教の碑が建立され、16人をイメージしたモニュメントが置かれています。

所在/長崎県長崎市中町1-13
お問い合わせ/095-823-24841
開館時間/6:00〜18:00
ミサの日/土曜日19:00〜、日曜日6:30〜/9:00〜
イベント/9月の第4日曜日…聖トマス西と15殉教者記念ミサ
リンク/http://nakamachi.sakura.ne.jp/index.html
アクセス/
徒歩…JR長崎駅より約6分。
路面電車…[3番・蛍茶屋-赤迫]に乗車し<桜町>で下車し、徒歩約4分。
バス…長崎バスもしくは県営バスに乗車に<桜町>で下車し、徒歩約4分。


参考文献
  • 「旅する長崎学3 キリシタン文化3」企画/長崎県 制作/長崎文献社
  • 特集2-第4章 受難の時代に生きたキリシタン 長崎十六聖人と金鍔次兵衛
  • 聖トマス西と15殉教者/カトリック中央協議会
  • 長崎における44人の殉教者/長崎大司教区 殉教者列福推進委員会編


うんちくバンク

人物
  • 大村純忠
  • 福者
歴史事件
  • 聖人となった26人の殉教者
資料
    場所
    • 雲仙地獄
    その他
    • セミナリヨ

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