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オランダのジンボトル

海外交流の落し物「洋酒ビン」からリサイクル

ジンのボトル

 緑の深い鉄色のアンティーク・ボトル。これはジンのボトルで、出島にオランダ商館が建った頃のもの。ジンといえば、マティーニやジントニックなど、バーで飲む小粋なカクテルを連想しますが、今回クローズアップするのが、この空っぽのジンボトル。長崎の海外交流の歴史を偲ばせる、約300年前の一品なんです。

ジン

 オランダ生まれのジンは、ワインなどの洋酒とともに異国の地「長崎」へと海を超えてやってきました。カクテルとして愛飲されている蒸留酒「ジン」は、もともと薬用として17世紀のオランダで開発されたもの。命をかけた大航海時代の船乗りには欠かせない飲み物だったのでしょう。

 鎖国時代の出島で働いていた長崎っ子は、オランダ人が飲み捨てたジンやワインの空き瓶や割れた破片を拾って持ち帰りました。空き瓶はキレイに洗って、観賞用の置物として、また、薬などを保存する容器として重宝したそうです。割れて粉々になったビンは、溶かしてガラス製品を作ったのはもちろんのこと。細かく砕いたガラスから、ビードロヨマと呼ばれるガラス片をまぶした糸をつくりました。これは相手の凧糸を切りあう喧嘩バタ(凧)の糸のこと。長崎っ子の血が騒ぐ春の伝統行事「ハタ揚げ(凧揚げ)」を楽しむためのアイデアには、洋酒のビンのこんなエピソードがあったのです。リサイクルから生まれた長崎っ子の知恵ですね。

ジン

 江戸時代にジンを作った日本人がいたことをご存知ですか?それは長崎奉行所の茂伝之進というお役人さん。1653年、オランダ商館が届けた徳川家綱の注文書に、蒸留セットを納品したという記録が残っていますが、茂伝之進さんがジンを完成させたのは、その約160年後の19世紀に入ってからのことでした。。

* 写真のジンボトルは、オランダ製で江戸時代後期のもの。ボトルに刻印された文字は、「I.T.BEUKERS SCHIEDAM」でオランダの会社名。

参考資料
  • ジンボトル(写真):長崎市歴史民俗資料館収蔵
  • 長崎古版画「紅毛人康楽之図」 長崎文献社
  • 『南蛮酒伝来史』 著/間庭辰蔵 発行/柴田書店 1976年
  • 『文化百選 祭り・行事編』 3長崎のハタ揚げ


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        • 長崎市歴史民俗資料館
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