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歴史が蘇る「原城一揆まつり」

見て・遊んで・学べる島原の乱

 徳川幕府のキリシタン弾圧、飢饉と天災からおこる凶作、領民に課せられた重税や労役から端を発した日本最大規模の一揆「島原の乱」。天草四郎率いる一揆軍は、天草と島原の領民 約3万7千人が集結して、1638年1月(寛永14年12月1日)、廃城となっていた原城に籠城しました。12万もの兵力を動員した幕府軍からの攻撃に耐えながらも、ついに籠城から88日目の1638年4月12日(寛永15年2月28日)、原城は落城し一揆軍は老若男女の別なくほぼ全滅したという悲しい歴史があります。
 現在、原城跡がある南島原市南有馬町では、一揆の模様を再現した「原城一揆まつり」がおこなわれています。島原の乱終焉の地である史跡「原城跡」をメイン会場として、毎年4月の土日、2日間にわたって開催。初日は、島原の乱で亡くなった方々の追悼式、2日目には天草四郎や板倉重昌に扮して戦いの様子を再現した合戦行列が町を練り歩き、観光客の目を楽しませてくれます。ふだんは静かな原城跡一帯が、この日ばかりは島原の乱が勃発した当時を思い起こさせるような歴史絵巻の世界へと変わります。本や文献では味わえない歴史物語を体験できるお祭りです。
 *(  )内の月日は旧暦表記です。

地元中学生&青年が扮する!一揆軍総大将の天草四郎と幕府軍の板倉重昌

 当時の戦いの様子を再現した合戦行列は必見です。まずは天草四郎率いる一揆軍。確かに一般民衆ですから完璧な武具などを持ち合わせているはずもなく、老若男女が竹やりや鍬などを手に携えての行進には、軽装が目立ちます。こんな姿で完全装備の幕府軍と戦ったのですから、改めて驚きを感じつつ、農民たちを一揆へと向かわせた怒りと覚悟は並大抵ではないことが伝わってきました。そう、この一揆には女性や子どもも参加したのでした。その中で、有馬氏の旧臣とおぼしき軽武装を施した足軽兵が総大将・天草四郎の跨がる馬を護衛しています。そして、その中心にいる天草四郎役は地元・南有馬中学校の生徒さん。綺麗に化粧をして、まさに紅顔の美少年といった様相です。乱当時の一揆軍の民衆の中にも、そのルックスにカリスマ性を感じて忠誠を誓った者もいたであろうとうなずけます。

 一方の幕府軍の行列は、鎧兜でバッチリ武装していました。国家に対する反乱を鎮圧するために組織された軍ですから、別に悪者ではないのですが、どことなく悪役っぽく見えます。こちらの行列の総大将は幕府からこの乱の鎮圧のために上使として派遣された板倉重昌で、やはり地元の青年が扮していました。口ひげも生やして貫禄十分です!

二の丸付近の特設ステージで島原の乱を再現!

 合戦行列で原城跡周辺の町を練り歩いた後、二の丸付近の特設ステージへと移動します。ここでは、島原の乱を再現する寸劇がおこなわれました。重税に苦しむ領民たちが一揆について話し合いをするシーンから始まり、幕府軍の軍事会議、板倉重昌の討死、天草四郎が姉妹とともに十字架に祈りを捧げる場面、そして参加者総出演での原城総攻撃…と、この一部始終を見れば島原の乱がダイジェストで理解することができる素晴らしい内容! 単なるお祭り気分ではなく、来てくれた方々に島原の乱の歴史を理解していただきたいという、スタッフのアイデアから実現したパフォーマンスだそうです。
 ステージ脇には、迫力のある「一夜城」の原城も設置されていて、雰囲気を盛り上げていました。遠目からはベニヤ板で作られていると思えないほど立派なこのお城、春風にあおられて倒れないようにするのに大変だったというスタッフの苦労話のエピソードもこっそり。
 この一夜城は、祭りの2週間ほど前から、夜間にライトアップもされています。 そのほかにもウォークラリーや原城発掘遺構説明会など、子どもからお年寄りまで、誰もが来て・見て・遊べて・学べる充実した原城一揆まつり。近くには温泉もあるので、家族連れで訪れるのにもってこいの催しです。

 多くの人々が尊い命を落とした島原の乱から370年の時が流れ、現在の日本は信教の自由も認められて平和で豊かな社会が築かれています。パライソ(天国)のような国になることを夢見た四郎たちは、いまの私たちの暮らしをどのように見ていることでしょうか。華やかなお祭りを楽しみながらも、歴史があって今がある、その思いを実感させられる新鮮な体験でした。

小川勇気

DATA

「原城一揆まつり」
開催期間:毎年4月
お問い合わせ:原城一揆まつり事務局(南島原市南有馬総合支所経済課内) 電話 050-3381-5170
原城観光協会 電話050-3381-5079
写真提供:南島原市南有馬総合支所



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人物
  • 天草四郎
  • 板倉重昌
歴史事件
  • 日本最大規模の一揆“島原の乱”
資料
  • 原城へと攻める夜襲の鐘が鳴り響いた
場所
  • 原城跡
  • 原城文化センター
  • 原城本丸跡
その他
  • 南島原市ってどんなところ?

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