たびながコラム

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鷹島の伝統として続く石工業“阿翁石(あおういし)”

 第1週の「歴史発見ドライブルート」で、多くの歴史スポットをご紹介しましたが、鷹島を巡っていると、石碑や墓石群が多いことに気づきます。これらの石には様々な形や表情があり、なにか特別なものを感じます。

オアシス村 開田の七人塚 聖徳太子立像 宮地嶽史跡公園
オアシス村 開田の七人塚 聖徳太子立像 宮地嶽史跡公園

 2009年(平成21)4月18日、鷹島肥前大橋の開通にあわせ、鷹島町では道の駅「鷹ら島(たからじま)」が完成し、とらふぐをかたどったユニークな石灯籠(いしどうろう)が観光客を出迎えています。この石灯籠をよく見てみると、内部がくりぬかれ、中に電灯が設置されています。夜にはこの電灯が灯り、ほのかに漏れる明かりが癒やしの空間を演出しています。

石灯籠 ライトアップされた石灯籠
道の駅 鷹ら島の駐車場にある石灯籠は夜になるとライトアップ(写真右)されます

 この石灯篭は、“阿翁石(あおういし)に再び光を当てることで島の石工業を盛り上げよう”と開発された商品のひとつで、『島あかり』とよばれています。

 

 鷹島に伝統として受け継がれている石工業とは、どんな歴史を持つものなのか、“阿翁石(あおういし)”とはいったいどういう石なのか・・・。

 

 鷹島石工業協同組合の代表理事である森 力松(もり りきまつ)さんに話をうかがいました。

森 力松(もり りきまつ)氏のプロフィール

長崎県特産品

長崎県伝統的工芸品指定

鷹島石工業協同組合 代表理事

阿翁石の歴史

 鷹島は、今から約730年前の元寇において、元軍と激戦を展開した古戦場であり、多くの戦死者の霊が眠っています。元寇後、島の開発が進むにつれて、当時の戦死者の遺骨が出土したそうです。その遺骨を祀るために、数多くの墓石や石碑が建てられました。石は、島北部の阿翁地区産の玄武岩が良質とされ、使用されました。これが「阿翁石」として名声を博した鷹島の石工業の起源といわれています。

 その後、平戸や唐津各藩の御用石としても栄え、「阿翁石」の名前は各地へ知られるようになりました。

阿翁石の特長

 阿翁石は粘着力に富んでいるため、繊細な加工をするのに適しており、風化作用にも耐え、磨滅(まめつ)の度が少ないことが特長です。また、彫刻するにはやわらかいため、手づくりの良さが映える石です。

 現在の鷹島モンゴル村辺りは、昔からの採石場でした。駐車場の真ん中にそびえ立っているモニュメントは、阿翁石の採石場だった証として残してあります。

阿翁石の活躍と鷹島の伝統工芸品

阿翁石モニュメント

 阿翁石が使われている有名なものとしては、福岡の筥崎八幡宮(はこざきはちまんぐう)の一の鳥居があります。鷹島から採石された阿翁石を福岡へ運び、1609年(慶長14)に建立されました。これは国の重要文化財に指定されています。

 

 また公共事業としても活用されています。最近では、平戸オランダ商館(平戸市)の復元工事をはじめ、千里ヶ浜(平戸市)のはり石、志佐港環境整備工事(松浦市)などで使用されています。鷹島島内では、鷹島海中ダム竣工記念碑や鷹島肥前大橋の親柱(おやばしら)、モンゴルの方向へ向かって建てられた交流のシンボル塔(鷹島モンゴル村)など、さまざまな場で鷹島の石工業の制作物を見ることができます。

筥崎八幡神社 松浦市志佐港環境整備工事
筥崎八幡神社 松浦市志佐港環境整備工事
鷹島モンゴル村 海中ダム竣工記念碑 鷹島肥前大橋の親柱
鷹島モンゴル村 海中ダム竣工記念碑 鷹島肥前大橋の親柱
『勝利の風が吹く島“鷹島”』の活動

ホーク1世

 約730年前の元寇で「神風」が吹いた鷹島の歴史を活用し、「鷹」つながりでプロ野球の福岡ソフトバンクホークスとスポンサー契約を結びました。この鷹島を切り口として松浦市の全体的な知名度アップを図り、交流人口の拡大につなげるというものです。

 この取り組みのひとつとして、福岡ソフトバンクホークスキャラクター「ホークファミリー」の祖先にあたる「ホーク1世」をかたどった阿翁石のお守り『勝鷹(かちたか)』が、鷹島限定で販売されています。



鷹島限定おまもり「勝鷹」・1個1,200円

 この勝鷹は、厄除・勝運の神として有名な筥崎八幡宮の一の鳥居(国指定重要文化財)と同じ阿翁石でひとつひとつつくられていますし、鷹島の守護神である住吉神社の御祓いを受けて販売されているそうです。現在は道の駅「鷹ら島」と鷹島モンゴル村の2施設でのみ販売されています。



必勝モニュメント

 また、「勝利」を呼び込む島としてのイメージを定着させるため、スポーツ・受験・恋愛などに頑張ってほしいという願いを込めて、必勝モニュメントを建設しました。鷹島モンゴル村の駐車場に設置されており、記念写真スポット・観光名所になりそうですね。このモニュメントの中央には、王貞治(おうさだはる)福岡ソフトバンクホークス会長の直筆による「必勝」の文字が刻まれています。

約450年の伝統を持つ鷹島の石工業のこれから・・・

鷹島石工業組合展示の島あかり

 これまで主体であった墓石や石碑、公共事業の分野はこのまま継続しつつ、このほかにも「勝鷹」や「島あかり」などのアイデア商品で幅を広げながら取り組んでいかれるそうです。約450年の伝統を誇る鷹島の石工業はその伝統を受け継ぎながら、さらに進化を続けています。

取材協力
  • 鷹島石工業協同組合
参考資料
  • 鷹島石工業協同組合パンフレット

長崎県特産品 長崎県伝統的工芸品指定 鷹島石工業協同組合


〒859-4302 長崎県松浦市鷹島町阿翁免

TEL:0955-48-2090 FAX:0955-48-3283



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