たびながコラム

ホーム   >  たびながコラム  >   長崎みやげ話

長崎べっ甲細工とは

 べっ甲細工とはどんなものかご存知ですか?

 赤道付近に生息するウミガメの一種、タイマイの背甲と爪(甲羅の縁)、腹甲を巧みに加工、細工したものです。中国では6世紀末頃から製作されており、8世紀の唐の時代にさかんに製作されていたといいます。日本には奈良時代に伝わり、正倉院御物の中に数点保存されているそうです。

 17世紀以降、唐船やオランダ船によってべっ甲細工の材料が長崎に陸揚げされるようになり、中国人から習得した技術で、べっ甲細工が製作されるようになりました。

元禄時代には、丸山近辺に多くのべっ甲職人がいたといわれています。当時は、櫛が主に作られていましたが、やがてかんざしや化粧箱、タバコケースなども製作されるようになりました。べっ甲細工職人の中には、大坂や江戸へと移り住み、べっ甲細工を国内に広めた人もいました。

しかし、材料のタイマイが輸入品で、数に限度があり高価だったため、高級品として庶民には高嶺の花でした。幕末から明治時代初期に、ロシア人など外国人に注目され、購入されるようになります。1891年(明治24)には長崎を訪問したロシアの皇太子ニコライ2世がお土産にべっ甲を購入したといいます。その後、長崎のべっ甲職人たちは、西洋の生活様式に合うようなデザインを工夫します。研究を重ねていくことによって長崎べっ甲製品に対する評価が国内のみならず国外でも高まり、長崎を代表する名産品のひとつとして知られるようになりました。

どうやってべっ甲細工は出来るの?

 長崎歴史文化博物館内・長崎奉行所の門から入ってすぐ左にある川政べっ甲店製作所では、長崎べっ甲の製作過程を自由に見学できます。今回、べっ甲細工が出来上がるまでを見学させていただきました。

 べっ甲細工を作るには、まずデザイン図を描きます。大きさや厚みなど制約がありますので、どんなものを作るのかを明確にします。そして素材選びに入ります。

 製品に合う甲羅(背甲・爪・腹甲)を選びます。作っていくデザインに合わせ、厚みや色合いに注意します。

 そして型を描き、型に合わせて糸鋸(いとのこ)で切り抜きます。厚みや、甲羅の重ね方で貼り合わせた時の柄の入り方や色合いを予想しながら調整します。厚みを調整し、熱によるプレスへと続きます。この時に指先の脂が甲羅に付着していると熱でくっつけることができません。石鹸で一度きれいに手を洗ってから繊細な作業を行わなければなりません。

 熱(熱湯)でプレスした後は、直射日光を受けないよう注意して乾燥させ、その後彫刻などの加工へと進みます。

 彫刻の後にみがきをかけると、べっ甲独特の光沢が出ます。そして全体の調和を図りながら組み立てを行い調整します。

実はこんなに手間暇を掛けて、べっ甲細工は作られているのです。

伝統工芸“長崎べっ甲細工”製作体験

 高度な技術によって、かんざしや化粧箱よりも複雑な船や龍などの装飾品・置物などよくカタログなどで目にし、高級なイメージがありますが、現在ではペンダントやブローチ、イヤリング、カウスボタンなど身近な製品も多く製作されています。

 坂本龍馬も、妻・お龍にべっ甲のかんざしをプレゼントしたともいわれています。またお龍が好んで弾いていた月琴のバチもべっ甲細工だったそうです。現在では、ギターのピックなども製作されています。風情ある音色が聴けそうですね。

 この川政べっ甲店製作所では、長崎べっ甲の製作過程や職人技を自由に見学することもできますが、商品を購入したり、ペンダントや携帯電話のストラップ向けのべっ甲細工を製作する体験も行われています。べっ甲細工がどのように製作されていくのか体験するのも実に楽しいですよ。また展示されている商品を見ながら、どんな工程で、タイマイのどんな甲羅の部分を用いているのか教えてもらいながら見学するのも発見があって面白いですよ。

 

【べっ甲細工体験】

所要時間:30分から40分程度

体験内容:1,300円コース(型が決まっているべっ甲細工作成)と2,000円コース(少しデザインが複雑になった動物型)があります。べっ甲細工職人が手伝ってくれますので作品は必ず出来上がりますよ。

※要予約です。(水曜日はお休みです)1回6名様から受け付けています。

伝統工芸に触れて

 製作過程を具体的に教えてもらうと、生地であるタイマイの甲羅部分によって柄、色合い、厚みがそれぞれ違うことも初めて知りました。製作するデザインに合わせて甲羅を数枚も重ね、熱でプレスしたものでも出来上がった時には、重ねた跡すらわからないというところを見ると、伝統工芸とよばれる理由がわかります。

 また、大切に持っていたべっ甲細工が割れてしまったという場合でも、そのまま持ってくると、再度加工し、新しいデザインとして蘇らせることが可能なのです。『伝統工芸』とよばれるものは、高級品というイメージが先行しがちで敷居が高く感じられますが、今回の見学で、今までよりも身近な工芸品だと感じることができました。

 現在ではワシントン条約により、原料であるタイマイの輸入が規制され、手に入りにくくなりました。べっ甲細工がすべての原因というわけではありませんが、タイマイの保護が必要となっています。そのためべっ甲細工の製作者の方々は困難に直面しているのも事実です。そんな現状を知ったうえで、約400年ものあいだ長崎に伝わり、引き継がれてきたべっ甲の伝統工芸にぜひとも触れてほしいと思います。

川政べっ甲店製作所(長崎歴史文化博物館内)

伝統工芸体験工房

長崎市立山1-1-1

TEL:095-818-8366 FAX:095-818-8407

※長崎奉行所の門から入ってすぐ左側です

 

【べっ甲細工体験 ※要予約】

所要時間:30分から40分程度

体験コース:1,300円コース・2,000円コース

※要予約です。(水曜日はお休みです)

1回6名様から受け付けています。


周辺散策地図


アンケート

コメント