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69 sixty nine

 1987年(昭和62)に出版された長崎県佐世保市出身の作家・村上龍さんの小説で、2004年(平成16)に公開されました。

 映画と演劇とロックの一大イベント“フェスティバル”を企画し、好きな女の子の気をひくために当時流行っていたバリケード封鎖をし、警察やマスコミが乗り出す大騒動に発展するなど一見無茶苦茶に思えますが、熱い青春を送る高校生たちが描かれています。

 この映画は、もちろん佐世保市のあちこちで多く撮影されています。

 主人公・矢崎剣介を演じる妻夫木聡さんと親友・山田正を演じる安藤政信さんが大学生グループから逃げ、追いつめられた際に橋から飛び降りるシーンがありましたが、早岐瀬戸(はいきせと)で撮影されました。飛び降りる橋は観潮橋(かんちょうばし)です。早岐瀬戸は、大村湾と佐世保湾を繋ぐ瀬戸です。江戸時代の干拓事業で両岸から潮止め堤防を築いたため、幅10mまでに狭められており、潮の干満に応じて激流が起こることでも知られています。

 奈良時代初期に編纂された肥前国(現佐賀県・長崎県)の風土記「肥前国風土記(ひぜんのくにふどき)」の中に、「速来門(はやきのと)」という記述があります。この速来門が早岐瀬戸ではないかといわれています。また中世には、この早岐瀬戸で山海の産物を持ち寄って物々交換をするという「市」が自然と発生しました。現在では「早岐茶市(はいきちゃいち)」として受け継がれ、毎年5月7〜9日(初市)・17〜19日(中市)・27〜29日(後市)・6月7〜9日(梅市)の4回に分けて行われており、お茶を始め、わかめ・魚の干物・苗類・陶磁器類などの販売がおこなわれています。

 映画冒頭で米軍敷地内にTシャツを投げ込み、軍関係者から追われて矢崎剣介と山田正の2人が走って逃げのびますが、一緒に“フェスティバル”をやろうと誓う場所は、SSKバイパスです。

 佐世保市平瀬町ロータリー(米海軍佐世保基地正門前)から赤崎町のSSK(佐世保重工業)旧西門までの道路区間をSSKバイパスとよんでいます。このSSKバイパスからは、SSKの造船関連施設やレンガ造りの建造物、たくさんのクレーン、ドックで建造や修理が行われている船舶などを見ることができます。

 この「69 sixty nine」は、1969年(昭和44)の佐世保市を舞台に、当時高校3年生だった村上龍さんの実体験が基となっています。ベトナム戦争と学生運動に揺れていたこの時代、基地の街・佐世保市がわかりやすく描かれています。

 原作でも登場人物たちは、佐世保の方言で話しています。『69 sixty nine』が出版された当時、この本を読んで、自分が普段使い慣れている地元の言葉が活字になっていたので、親しみが持て、とても新鮮に感じたことを覚えています。



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