ながさき歴史の旅

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テーマで歩く歴史散策

第6回 “レトロの街・雲仙”を歩こう

 ドライブルートのなかから、歩いて学べるエリアをクローズアップしてご紹介するコーナーです。今回の散策コースのテーマは、「“レトロの街・雲仙”を歩こう」です。
 四季折々の自然はもちろん、雲仙地獄や温泉など魅力がいっぱいの雲仙。古くは『肥前国風土記』で「高来峰」と呼ばれているのがこの雲仙岳であり、“温泉”についての記述もあります。雲仙はもとは“温泉”と表記され“うんぜん”と読ませていましたが、1934年(昭和9)日本初の国立公園に指定された際に、ほかの温泉地と混同しないように、現在の表記「雲仙」に改められました。かつては、キリシタン殉教地としての悲しい歴史もありましたが、明治時代からは多くの外国人観光客が避暑に訪れて賑わい、日本を代表する温泉リゾートへと成長しました。いまでも当時のレトロな雰囲気が漂います。

 車で訪れる方は、各ポイントに点在する有料駐車場をご利用ください。さぁ、さっそく雲仙をウォーキング!

散策エリアの位置をチェック

散策コース&マップ

スポットの紹介
01雲仙お山の情報館

雲仙お山の情報館 雲仙の自然についての情報が満載の「雲仙探訪」をはじめ、ドラマチックに移り変わった雲仙の歴史を写真で紹介する「島原〜暮らしの移り変わり」など、充実した展示になっています。
 2階では、「温泉」をテーマに、日本の温泉の種類や島原半島の温泉について紹介しているほか、雲仙にはどんな野鳥や植物が住んでいるのかなどをわかりやすく解説しています。
 雲仙を訪れたら、最初にこの施設で雲仙の歴史と自然を知っておくと、より雲仙を楽しめる旅となります。

雲仙お山の情報館/館内 雲仙お山の情報館/館内 雲仙お山の情報館/館内
02雲仙スパハウス・雲仙ビードロ美術館

雲仙スパハウス・雲仙ビードロ美術館 温泉、美術館、ガラス体験工房の3つを一度に楽しめる施設です。
 「ビードロ美術館」の見どころは、19世紀を中心とした世界のアンティークガラスのコレクション。ヴェネツィア、ボヘミア、イギリス、フランス、ドイツ、ベルギーなど、特色あるヨーロピアン・アンティークガラス約300点を収蔵しています。
 ガラスづくりを体験できる「ガラス体験工房」では、“温泉(うんぜん)レモネード”の空き瓶を利用したオリジナルガラス作品を制作しています。雲仙ならではのガラスを使った“吹きガラス”を体験することができます。
 「温泉スパ」では、大浴場、サウナ、岩盤浴のほか、ナチュラル志向で人気の露天風呂、屋久杉風呂、ヒノキ湯を楽しめます。
障がい者用トイレやエレベーター等の設備が整っており、安心して訪れることができます。

大浴場 露天風呂 ヒノキ風呂
大浴場 露天風呂 ヒノキ風呂
販売コーナー ガラス体験工房 ガラスのストラップづくり体験もできます
販売コーナー ガラス体験工房 ガラスのストラップづくり
03雲仙地獄(うんぜんじごく)

雲仙地獄 雲仙の温泉の泉質は、硫酸イオンの高い硫黄泉で、強い酸性を示しています。古くから温泉療法に用いられ、リウマチ、糖尿病、皮膚病に効果があります。シューシューと音をたてて噴き出している噴気の最高温度は120度もあります。大部分は水蒸気ですが、炭酸ガス、硫化水素ガスを含み、強い硫黄の臭いを漂わせています。
 雲仙の地獄は、面積はそう広くありませんが標高差が大きく、古くから自然の林や草原がよく保存されてきました。多くの野鳥が住み、ヒタキ科のオオルリやキビタキのほか、メジロやキセキレイなどが訪れますし、いたるところでホオジロやシジュウカラ、ヤマガラが見られます。
 鳥のさえずりを聞きながら、自然の景観を堪能できる雲仙地獄の散策。所要時間は、1時間から1時間半程度です。雲仙地獄の見どころを写真でご紹介しましょう。

八万地獄 お糸地獄 温泉たまご
八万地獄 お糸地獄 温泉たまご
人が持っている八万四千の煩悩によってなされた悪行の果てに落ちる地獄のことだといわれています。 その昔、島原城下でたいへん裕福な生活をしていたのに、密通をしたあげく、夫を殺してしまったお糸という女がいました。お糸が処刑されたころにこの地獄が噴き出したので、「家庭を乱すと地獄に落ちるぞ」という戒めを込めて、この名前がつけられたといわれています。 4個入りで300円(2009年10月30日現在)。観光客にも人気で、地獄内の休憩所で味わう姿がよくみられます。
真知子岩 大叫喚地獄 邪見地獄
真知子岩 大叫喚地獄
(だいきょうかんじごく)
邪見地獄
(じゃけんじごく)
1954年(昭和29)に映画「君の名は」のロケが雲仙地獄でおこなわれました。女優の岸恵子さんが手を添えた石岩が「真知子岩」として脚光を浴びました。 現在、最も活発な噴気活動をしているのが、この大叫喚地獄です。雲仙地獄の一番高い位置にあり、白い噴気は30〜40メートルにも上ります。ゴウゴウという噴気音が、地獄に落ちてゆく亡者の絶叫のようにも聞こえ、この名前がつきました。 邪見というのは、人を妬む醜い心のことです。この温泉のお湯を飲むと、夫婦や友達の間で生じた嫉妬心による不和を解消するといわれています。でも実際には、強酸性の温泉で、とても飲めるようなものではありません。
雲仙地獄の悲劇〜殉教地〜



雲仙地獄の殉教碑 雲仙地獄は、キリシタン殉教地としての悲しい歴史も持っています。
 1616年(元和2)、島原に入部してきた松倉重政は、当初キリスト教の布教を黙認していました。島原城(森岳城)の築城には領民の力も必要で、キリシタンの多い島原を治めるためでした。しかし、江戸参府時に、徳川家光から叱責されたことが原因で、突然キリスト教徒への厳しい迫害を始めました。なかなか改宗しないキリシタンに対し、弾圧はエスカレートしていきます。

 松倉重政は雲仙地獄の煮えたぎる熱湯を拷問に利用しました。長崎奉行の竹中采女正重義(たけなかうねめのしょうしげよし)も長崎の牢屋にいるキリシタンを雲仙地獄に連行し、転ぶ(棄教する)よう強要しました。熱湯につけては引き上げる、この繰り返しで、10日から1ヶ月もの長期にわたって痛めつけました。
 雲仙地獄で殉教したキリシタンの中に、有馬の元家臣・パウロ内堀作右衛門(うちぼりさくえもん)という人がいます。彼の3人の息子たちは拷問のすえ、水責めで命を落としました。作右衛門は指を切られ、額に“切支丹”の焼き印をつけられて、地獄責めにあいました。それでもキリスト教の信仰を貫きとおし、最期は「いと聖き聖体は賛美させられたまえ」と叫びながら、雲仙地獄のなかに消えていったそうです。一度は辛い拷問によって信仰を棄てた人々もいましたが、彼の信仰の深さに感動して再び入信した者もいたといいます。内堀作右衛門は、カトリック教会によって福者に列せられ、2008年(平成20)に、日本で初めての列福式が長崎で行われました。

地質的な見どころ〜地獄地形の進化〜



旧八万地獄 雲仙地獄では、高温の噴気や熱水が噴出しているところを間近に見ることができます。地獄地帯の岩石は、温泉や噴気の影響による変質作用を受けて分解・崩壊が進み、地表は次第に浸食されて盆地状の地獄地形が形成されていきます。
 地獄地帯の変遷の過程は、「地獄地形の進化」と呼ばれ、1.原始期、2.幼年期、3.壮年期、4.老年期と識別されるそうです。雲仙地獄の新湯地帯は、活発な活動を見せていますので幼年〜壮年期、旧八万地獄は、変質地帯が侵食されつつある老年期と考えられます。

04満明寺(まんみょうじ)

満明寺

 古代・島原半島の文化の中心が、温泉山満明寺だったといわれています。
 701年(大宝元)、行基の建立と伝えられる満明寺は、子院3,800余坊、塔19基を有する大寺院で、中世末から近世初頭にかけて西日本にその大伽藍(だいがらん)を誇ったといいます。真言密教の修行道場として栄えました。
 満明寺から上ると、行基菩薩像が建ち、そこから旧八万地獄へと続く散策コースがあります。

八十八ヶ所巡り 羅漢像
八十八ヶ所巡り
満明寺の境内に並ぶお地蔵様は、四国八十八ヶ所のミニチュア版。約20分でひとめぐりできます。
羅漢像
羅漢像は一度首を切られ、その後つながったことから、「リストラ除難」として手を合わせる人も少なくないとか。
季節の移り変わりが感じられる散策コース 散策コースは旧八万地獄へと続く
季節の移り変わりが感じられる散策コース。 散策コースは旧八万地獄へと続く。

05雲仙おもちゃ博物館

雲仙おもちゃ博物館 むかし懐かしいおもちゃや雑貨、お菓子などを販売・展示しています。店内に入ると、時間を忘れて夢中になってしまいます。
 1階には、メンコやクジ付きお菓子、おもちゃなどが所せましと並んでいます。ついつい昔に戻って、おねだりしたくなるような懐かしさです。  

雲仙おもちゃ博物館1F 雲仙おもちゃ博物館1F

 2階は有料の博物館。昭和20年代からのブリキのおもちゃや当たりクジ、駄玩具など希少価値のあるものばかり、約2,000点が展示されています。とにかく今となっては、めったにお目にかかれない逸品がズラリ。

雲仙おもちゃ博物館2F 雲仙おもちゃ博物館2F
■営業時間: 8:30〜21:30(不定休)
■博物館入館料(2F): 200円(中学生以上) 9:00〜18:00
06白雲の池キャンプ場

白雲の池キャンプ場 白雲の池周辺にあるキャンプ場は、自然に囲まれ、野鳥や昆虫もたくさんいます。夏は涼しく、避暑には最高の場所。湖畔からは平成新山も遠望できて、ロケーションは抜群。キャンプファイヤー(設備)やトイレ・炊事場、レクレーション広場もあります。

温泉(うんぜん)レモネード



温泉(うんぜん)レモネード 散策していると、ちょっとのどが渇いてきました。雲仙に来たからには、ぜひとも飲んでおきたいのが「温泉(うんぜん)レモネード」です。
 明治期から昭和初期にかけての雲仙では、炭酸水と砂糖を混ぜ合わせた飲料水が外国人たちののどを潤しました。そんなレトロな歴史を活かし、かつての名称「温泉(うんぜん)」を商品名にした飲み物です。ラベルのデザインは、雲仙に滞在した、アメリカのノーベル賞作家パール・バックをイメージしたものです。また、王冠のデザインは、雲仙に多く自生するミヤマキリシマをモチーフにしています。

日本一?小さな公衆浴場です。・・・たぶん



日本一?小さな公衆浴場です。・・・たぶん 街中を歩いていると、驚く光景もしばしば。これは日本一小さいかもしれない公衆浴場です。服を脱ぐ必要もありません。なぜなら、指先で温泉浴を楽しむ公衆浴場なのです。散策途中に、ぜひ利用してみてください。
※日によって温度が違いますので、高温には注意してください。

足湯でさらに歩ける!?



足湯でさらに歩ける!? さすが温泉街。足湯もあります。疲れたら足湯につかって一息。これは湯元ホテルの敷地内に設置されている「語らいの場 湯元の足湯」です。知らない旅人同士でも、ついつい語らい和んでしまう。そんな特別な場所があるって嬉しいですね。
 ちなみにこの足湯、血液の循環がよくなり、美容と健康に良いそうです。肩こりや足の痛みなどの疲れを癒し、万病に効果ありといわれています。

イベント

 毎年11月上旬(今年は11月3日に開催されました)には、心と体を癒す「紅葉ウォーク」が開催されています。真っ赤に染まる山々の落ち葉を踏みしめ、湯けむり漂う温泉街を自然に親しみながらゆっくりと歩いてみませんか。
 また、2010年2月6日〜2月27日には、霧氷(=花ぼうろ)をイメージした「花ぼうろシンボル点灯」など、幻想的な空間を演出する「雲仙灯りの花ぼうろ2010」が開催されます。イルミネーションツリーや花火などが街を彩り、昼間の雲仙とは異なるファンタジックな夜の雲仙を体感することができます。※2010年の花火の打ち上げは、2月6日、13日、20日、27日の予定です。
・お問合せ
 (社)雲仙観光協会 TEL:0957-73-3434

参考資料

・『旅する長崎学3 キリシタン文化III』(企画/長崎県 制作/長崎文献社)

・『旅する長崎学10 近代化ものがたりIV』(企画/長崎県 制作/長崎文献社)

・『郷土史事典』(長崎県/石田 保著/昌平社出版)

・『国立公園雲仙ガイドブック』

雲仙地獄 満明寺 雲仙スパハウス・雲仙ビードロ美術館 雲仙お山の情報館 雲仙おもちゃ博物館 白雲の池キャンプ場

うんちくバンク

人物
  • 竹中采女正重義
  • 福者
  • 松倉重政
歴史事件
    資料
      場所
      • 雲仙地獄
      • 島原城
      その他

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