ながさき歴史の旅

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テーマで歩く歴史散策

第10回 太古の浪漫・一支国を感じて

 ドライブルートのなかから、歩いて学べるエリアをクローズアップしてご紹介するコーナーです。今回の散策コースのテーマは、 「太古の浪漫・一支国(いきこく)を感じて」です。

 2010年(平成22)3月14日、壱岐市に新しい歴史文化体験施設「壱岐市立一支国博物館」が誕生しました。 そしてこの博物館の眼下には、邪馬台国が存在したころの国・一支国の王都「原の辻遺跡」が広がっています。 当時の遺物の数々が展示されている「一支国博物館」と国の特別史跡に指定されている「原の辻遺跡」を訪ねて、太古の浪漫を感じよう!

スポットの紹介
01壱岐市立一支国博物館・長崎県埋蔵文化財センター

 新しくオープンした「一支国博物館」では、“海上の貿易センター”として弥生時代に繁栄した壱岐の王国・一支国の歴史を学ぶことができます。また、東アジアを舞台に壱岐の歴史が紹介され、海を介した国々の各時代における社会情勢や時代背景などについても知ることができます。“見て・触れて・楽しむ”体験型の博物館なので、大人も子どももみんなでワクワク!感動と発見が待っている新感覚のミュージアムです。
しま全体に歴史の足跡が残る壱岐の島は、まるで“しまごと博物館”。その拠点となる情報発信の施設としての役割も果たしてくれそうです。まずは、博物館に行ってみよう!

建物 エントランスホール キッズこうこがく研究所
・建物
故・黒川紀章氏の設計。県立の埋蔵文化財センターと市立の博物館が一体となった施設は、全国でも珍しい。
・エントランスホール
来館者を迎える壱岐の総合インフォメーション。奥には「邪馬台国への道」も見え、期待に胸がふくらみます。
・キッズこうこがく研究所
考古学や歴史を体感学習できる体験スペースです。土器のパズルや組み立て、発掘体験など、子どもだけでなく大人も一緒に楽しめます。
オープン収蔵庫 観察路 通史ゾーン
・オープン収蔵庫
普通はあまり公開されていない収蔵庫内を見せる演出です。キッズこうこがく研究所からも迫力ある貴重な遺物が閲覧できます。
・観察路
発掘調査で出土した遺物の整理を作業別に見学できる観察路です。長崎県埋蔵文化財センターと一体となった博物館ならではです。
・通史ゾーン
壱岐の歴史を、現代から一支国の時代までさかのぼる歴史通史絵巻。東アジア史と日本史の歴史事象を比較しながら紹介しています。
古墳ゾーン 海の王都・原の辻 一支国トピックス
・古墳ゾーン
壱岐に残る約270基の古墳が物語る“古墳時代“の歴史を紹介しています。
・海の王都・原の辻
朝鮮半島と日本本土との海道を行き来していた古代船は、海の王都の象徴。櫓をこぐ体験もできます。
・一支国トピックス
一支国の王都として栄えた原の辻遺跡の世界をジオラマ模型で再現。当時の生活の様子がよくわかります。
テーマ展示室 邪馬台国への道 ビューシアター
・テーマ展示室
テーマを設定して、企画展示を行うスペースです。2010年3月14日から6月20日までは「『魏志』倭人伝の国々に残る至宝展」が開催されています。
・邪馬台国への道
中国の歴史書『三国志』の「魏志倭人伝」に書かれた一支国の様子をはじめ、邪馬台国までの国に関する情報を紹介しています。
・ビューシアター
海を介した交流によって栄えた一支国の様子をシアター映像で再現します。東アジアの視点にたった歴史ストーリーをご覧ください。
情報プラザ 屋上展望広場 4F展望室
・情報プラザ
壱岐の歴史や観光をはじめ、東アジアの遺跡に関する情報などを検索することができます。
・屋上展望広場
館外の緑のオープンスペース。天然芝生の憩いの場です。深江田原に広がる「原の辻遺跡」を一望できます。
・4F展望室
エレベーターを利用して展望室に上がると、大パノラマの素晴らしい眺めが楽しめます。

 「一支国博物館」の眼下に広がる「原の辻遺跡」も、「原の辻一支国王都復元公園」として整備され、一般公開されています。博物館から歩くと約30分程度(車で約3分程度)のところ。弥生時代を想像しながらゆったりと歩き、途中「大塚山古墳」や「安国寺」に立ち寄って、壱岐島の歴史に触れる散策もおススメです。

02原の辻遺跡 原の辻一支国王都復元公園(はるのつじいせき はるのつじいきこくおうとふくげんこうえん)

原の辻復元施設

 かつて邪馬台国が存在していた時代、一支国の王都が広がっていたところです。一支国は、「魏志倭人伝」に記された国の中で、国の場所と王都の位置の両方が特定された国内唯一の遺跡です。
 1904年(明治37)、松本友雄(まつもとともお)氏によって発見された原の辻遺跡では、その後の発掘調査によって、日本最古の船着き場の跡(1996年(平成8)検出)や当時の「一支国」が大陸との交流によって繁栄していたことを示す住居跡、交易によってもたらされた様々な地域の土器、中国の貨幣、日本唯一の人面石やココヤシで作った笛などが発見されています。
 史跡の国宝級ともいえる“国の特別史跡”に指定され、数々の遺構や遺物の発見・検出をもとに、当時の建物などの復元整備がおこなわれてきました。今回、一支国博物館の開館にあわせて、「原の辻遺跡 原の辻一支国王都復元公園」としてリニューアル公開されることになりました。単に建物の外観の復元だけではなく、その役割によって内部もそれぞれ整備されています。
 発掘から調査・復元までの経過も踏まえて、ちょっと観察してみましょう。

 2005年(平成17)、遺跡の中心域の3棟が復元されました。また、この年には、丘陵の祭儀場跡周辺で大規模な土器溜りや甕棺墓、石棺墓が検出されました。

主祭殿 平屋脇殿 大型竪穴住居(迎賓場)
・主祭殿
神と一支国王が共に食を交わす場で、王以外の者は入室できない神聖な場といわれています。
・平屋脇殿
一支国王が神との儀式の前に身を清めたといわれています。
・大型竪穴住居(迎賓場)
一支国を訪れた使節団を歓迎するところです。

 2006年(平成18)には、 遺跡の中心域の5棟と管理小屋を復元しました。また、丘陵の祭儀場跡周辺で発見された土器溜りは、その範囲が確認され、土器のほかに人骨や獣骨、丹塗りの土器なども新たに見つかりました。

大型竪穴住居(王の居館) 竪穴住居(使節滞在場) 竪穴住居(長老の家)
・大型竪穴住居(王の居館)
一支国王が生活していたところです。
・竪穴住居(使節滞在場)
使節団が滞在する間の食材や荷物を保管しておく場です。
・竪穴住居(長老の家)
一支国の中で長老的存在の人が暮らしていた場です。
大型壁立建物(集会場) 高床建物  
・大型壁立建物(集会場)
一支国を担う各種団の長(おさ)が集合し、話し合いを行いました。
・高床建物
滞在中の使節団の貴重品を保管するための倉庫です。
 

 2007年(平成19)には、遺跡の中心域に5棟を復元しました。

小型高床倉庫群(2棟) 方形壁立建物(交易を司る者の家) 円形壁立住居(通詞の家)
・小型高床倉庫群(2棟)
手前は祭りや儀式に供える食材を納める倉で、奥の倉庫には祭りに用いる祭器を納めていました。
・方形壁立建物
 (交易を司る者の家)

一支国の交易を司る人が暮らしていた場です。
・円形壁立住居(通詞の家)
中国や朝鮮半島に精通した人が滞在する場です。
大型壁立建物(使節宿泊場)    
・大型壁立建物
 (使節宿泊場)

使節団に随行してきた人が宿泊する場です。
   

 2008年(平成20)には、中心域に4棟復元しました。

物見櫓 円形壁立住居(番小屋) 穀倉
・物見櫓
集落の外の動きを見張る建物です。鳴り物などの音で危険を知らせていたといわれています。
・円形壁立住居(番小屋)
物見櫓の見張り番から知らせを受けて、警備につく兵士の詰め所です。
・穀倉
収穫された米や麦などを入れる倉です。中心域の暮らしに使われていたといいます。
交易の倉    
・交易の倉
外国や九州本土との交易品などを収めていたといわれています。
   

土器溜り  2009年(平成21)まで「原の辻展示館」だった建物は、今回の「原の辻一支国王都復元公園」において、原の辻遺跡の発掘の歴史や四季の風情を紹介するガイダンス施設の役割を果たします。

 公園内には中国原産のハナモモなどが植えられ、環濠域も整備され、土器溜り遺構の露出展示もおこなわれています。
・土器溜り
一般の土器や石器などとともに、祭りに使用された土器がこの辺りにまとめて捨てられていました。

 現在も発掘調査は続けられています。これまで調査が行われた部分は、広大な遺跡のなかの1割程度の面積だそうです。まだまだこの公園の下には弥生時代の浪漫が眠っているのかもしれません。今後の発掘調査もとても楽しみです。

原の辻一支国王都復元公園 長崎県埋蔵文化財センター・壱岐市立一支国博物館

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      • 一支国
      • 環濠
      • 魏志倭人伝
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