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秋ノ浦焼

その3 秋ノ浦焼の小皿

 前回(2011年10月に掲載の秋ノ浦焼その1、その2)は、秋ノ浦焼が焼かれた時期と窯についてご紹介しましたが、今回は現存するものを通して、その特徴をご紹介していきたいと思います。
 しかしながら、秋ノ浦焼は伝世しているものの数があまり多くありません。それが秋ノ浦焼の解明を難しくしている要因の一つとなっているのですが、長崎歴史文化博物館や佐賀県立九州陶磁博物館、長崎造船所の占勝閣、あるいは個人の所蔵品として今なお大切に受け継がれてきた品々があり、秋ノ浦焼の作風をおぼろげながら知ることが出来ます。
  今回は、まず小皿の秋ノ浦焼を見ていきましょう。


(図1)秋ノ浦焼 19世紀後半 色絵蝶葡萄文皿(5枚)川内利昭氏所蔵                  
      
  図1は、直径9センチあまりの小皿5枚のセットです(図1参照)。
  蝶と葡萄の文様が、赤やピンク、黄色、紫、緑、黄緑、青、水色、黒といった豊富な色彩で描かれており、それぞれの文様は、黒味を帯びた褐色の輪郭線で縁取られています(図234参照)。 裏面に文様はありませんが、高台内に上絵の赤で「秋浦」と記された銘があります(図5参照)。
 素地は、染付が一切用いられず、乳白手(にごしで)を思わせる真っ白な色をしています。そして造りが薄手であり、高台は断面が逆三角形、つまり下に行くほど幅が細くなり畳付部分は尖っています。これは幕末から明治にかけて作られた三川内焼の素地に良く似ており、銘が無ければ判別するのが難しいかもしれません。
  秋ノ浦焼は、長崎製鉄所の建設に携わったオランダ人が、敷地内の煉瓦用の窯で余暇を利用して焼いた焼き物だと言われていましたが、この美しく整った素地やカラフルで繊細な絵付けを見ると、そのような片手間ではなく、本格的な職人の手で作られた完成度の高い焼き物であることがわかります。

               
       (図2)          (図3)           (図4)


(図5)


【長崎県文化振興課 松下 久子】




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