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秋ノ浦焼

その4 秋ノ浦焼の中皿

  今回は、直径が20センチ前後の中皿を見てまいりましょう。

(図1)秋ノ浦焼 色絵花鳥文皿 19世紀後半 長崎歴史文化博物館蔵


 中皿は、秋ノ浦焼の中で最も多く伝世している器です。長崎歴史文化博物館には、2種類の絵柄をもつ10枚組のセットとして収蔵されているほどです。(図1参照)


 現存する中皿の中で最も多いのは、縁が鍔状に平らになった洋皿風の器形です(図1・2・3・4参照
)。

(図2)長崎歴史文化博物館蔵  (図3)長崎歴史文化博物館蔵


(図4)色絵花鳥蝶文皿 19世紀後半 川内利昭氏蔵

 縁に沿うような構図で花鳥文が描かれており、小皿の時と同様に赤やピンク、黄色、紫、緑、黄緑、青、水色で彩られています。さらに花びらの一部には、少し盛り上がった厚味のある白も用いられています(図5参照
)。

(図5)花弁に白く盛り上がる絵の具が使用されている。 

 器の表に描かれている文様は、上絵(本焼の後、釉薬の上に絵の具で描く方法。色絵とも言う)のみで、染付(釉薬をかける前に呉須で描く方法)は併用されないという特徴があります。このような中間色を多用した明るい色調の絵付けは、有田の大樽窯で多くの洋食器を手がけた平林伊兵の製品などに見られ(有田焼 平林伊兵、上絵草花文スープ皿、明治
2年頃〜20年代、鍋島報效会蔵など)、有田焼との技術的な接点があったことを示唆しているかのようです。


(図6)色絵鷹猿文皿 19世紀後半
    佐賀県立九州陶磁文化館蔵

 一方、口縁部が緩やかに立ち上がる丸皿も作られていました(図6参照)。これらの中皿の裏面だけを見比べていただくと(図2346の裏面参照)、染付文様の色調や描き方、口径に対する高台径の割合、素地の質感、高台畳付部の削り方など、個体によって大きな違いがあることに気が付かれることでしょう。このような傾向から、秋ノ浦焼の製造には、技術的系統の異なる複数の職人が携わっていたということが想像できます。

            【長崎県文化振興課 松下 久子】


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