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秋ノ浦焼

その5 秋ノ浦焼の大皿か(1)

 
(図1)色絵船遊図大皿 19世紀後半     (図2)同 裏面
    口径
58.5cm 底径34.5cm 
    川内利昭氏蔵


 今回は、直径が58cmもある大きくて華やかな大皿をご紹介します。(図1・2)

 器面には、扇形に広げた巻物や格狭間形などの窓を配し、その中に船遊びをする人々、橋を渡る行列、花鳥図などが描かれています。
丁髷・結髪に着物姿の人物や花鳥、菊、巻物、扇形など、ことさら日本らしさを強調したデザインから、輸出品として作られた可能性がうかがえます(図3)。

 (図3)同 部分拡大
 

 

 

 文様は、染付を用いず、全て上絵具で描かれています。ピンクや黄緑、水色、紫といった中間色をはじめ、赤、黄、黒、白、茶色、金など多彩で、明るい色調の組合せが特徴的です。以前ご紹介した秋ノ浦焼の中皿や小皿とも共通しています。

 秋ノ浦焼には、高台内に「秋浦」と書かれていることが多く、この大皿にも高台内に「秋浦」の銘があります(図4)。通常は、赤い上絵具で書かれるのですが(図5)、この大皿の銘は染付の青で書かれており、方形枠が二重になっている点も他の秋ノ浦焼と異なっています。

  
(図4)同 裏銘            (図5)色絵花鳥図皿(裏銘部分)
                            
19世紀後半 秋ノ浦焼 
                            長崎歴史文化博物館蔵


 秋ノ浦焼らしくない点は、他にも見られます。普通、秋ノ浦焼の中皿や小皿では、余白を活かした構図で花鳥や蝶などの文様が描かれますが、この大皿は見込全体を文様で埋め尽くし、しかも文様の細部まで加筆され描写がとても緻密です。さらに、高台内には、「肥碟山信甫造」の銘が赤い上絵具で書かれています(図4)。この銘は、幕末から明治にかけて活躍した有田の貿易商・田代紋左衛門が取り扱った商品に記された銘でした。

さてこれは一体、どういうことを意味しているのでしょうか。(つづく)


【長崎県文化振興課  松下 久子】


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