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三川内焼

その5 江戸後期の細工物〜葡萄栗鼠置物と瓜に栗鼠香炉〜(1)

 

図1 葡萄栗鼠置物の図 筆者不詳 安政6年(1859年) 『平戸焼染付の文様』より転載

  平戸藩における窯業の中心地であった三川内皿山には、江戸時代から伝わる古いデザイン画や記録類が残されています。その中の一つに、ブドウとリスを組み合わせた置物の絵があります[図1]。 

この図の中央にはブドウの房に乗ったリスを象った置物が描かれ、その右上には「御置物 栗鼠白 ぶどふ葉瑠璃 実青磁」と説明があります。この絵が製作用の絵手本なのか、完成した作品を写生した記録なのか明らかではありませんが、置物に「御」を付け作品名を「御置物」としていることから、藩主など重要な人物からの注文で作られた特別な作品であったことが推測されます。

また、栗鼠は白磁、葡萄の葉は瑠璃釉、ブドウの実は青磁釉というように、3種類の釉薬を掛け分けた装飾であったことがわかります。白と紺色、水色を組み合わせた、平戸焼(江戸時代に三川内皿山で作られた焼物)らしい清々しい印象の置物だったのでしょう。

絵の左側には、「安政六己未 七月朔日写之」と記されていることから、安政6年(1859)年の7月1日に書き写されたようです。

この図に描かれた実物の平戸焼は、残念ながらこれまで拝見したことがなく現存しているのかどうかわかりませんが、類似する香炉が伝世していますので次回にご紹介したいと思います。(つづく) 

【長崎県文化振興課 松下久子】 


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