長崎学WEB学会
Nagasaki Studies Society on the Web
「ナガサキ タイムス」とイカルス号事件
Nagasaki Times and the Icarus Affair
その1 「崎陽雑報」で報道された事件の真相
すでに幕府の権威が動揺し、時代は大きく変わろうとしていた時期です。長崎には多くの外国艦船が入港し、外国人居留地が形成されていました。事件の3カ月前の4月、坂本龍馬たちの亀山社中は海援隊と改称して、土佐藩の配下に入り、6月には龍馬と後藤象二郎が上京途上の夕顔丸船内で新しい国の形を相談したと言われます(船中八策)。同じ6月長崎では、浦上のキリシタン信徒が多数捕縛されています(浦上四番くずれ)。7月には町年寄以下の長崎地役人を再編成し、職務のない地役人は遊撃隊(のちの振遠隊)という軍事組織に編制しなおす町方支配の制度改革が断行された時期です。半年後には幕府が政権を返上し(大政奉還)、新政府が樹立されることになります。こんなさなかに起きた事件でした。
イカルス事件の犯人は筑前藩士金子才吉でしたが、金子は2日後に自害。筑前藩は事実を隠匿しました。当時、イギリスの犯人追及は厳しく、一時は海援隊士の犯行が疑われました。しかし、犯人が挙げられることなく、うやむやとなっていました。
※イカルス号事件の概要については『幕末長崎イカルス号事件』(松竹秀雄著)を参照
(1) Fact of the Affair Reported in the Newspaper Kiyo Zappo
すでに幕府の権威が動揺し、時代は大きく変わろうとしていた時期です。長崎には多くの外国艦船が入港し、外国人居留地が形成されていました。事件の3カ月前の4月、坂本龍馬たちの亀山社中は海援隊と改称して、土佐藩の配下に入り、6月には龍馬と後藤象二郎が上京途上の夕顔丸船内で新しい国の形を相談したと言われます(船中八策)。同じ6月長崎では、浦上のキリシタン信徒が多数捕縛されています(浦上四番くずれ)。7月には町年寄以下の長崎地役人を再編成し、職務のない地役人は遊撃隊(のちの振遠隊)という軍事組織に編制しなおす町方支配の制度改革が断行された時期です。半年後には幕府が政権を返上し(大政奉還)、新政府が樹立されることになります。こんなさなかに起きた事件でした。
イカルス事件の犯人は筑前藩士金子才吉でしたが、金子は2日後に自害。筑前藩は事実を隠匿しました。当時、イギリスの犯人追及は厳しく、一時は海援隊士の犯行が疑われました。しかし、犯人が挙げられることなく、うやむやとなっていました。
※イカルス号事件の概要については『幕末長崎イカルス号事件』(松竹秀雄著)を参照