長崎学WEB学会
Nagasaki Studies Society on the Web
「犯科帳」の謎
Mysteries about Hankacho (Records of Judgments Given by the Nagasaki Magistrate’s Office)
年号未詳「犯科帳」の年代を考えてみました その2
E:第10冊の本文を見ると、事件番号(資料左上の朱書きの部分)が「四」からはじまっています。番号「一」から「三」までしかない年号未詳「犯科帳」と、番号「四」以降しかない第10冊「犯科帳」。事件番号からするとこの両者には連続性がありそうです。さらに両者をくらべて見ると、資料のサイズはほぼ同じ、書かれている文字もほぼ同じ筆跡のように思えます。ますます同一冊子の可能性が高くなってきました。
「犯科帳」は江戸幕府が倒れ長崎奉行所が崩壊したあと、長崎県庁で保管され、その後県立長崎図書館へ移管、現在は長崎歴史文化博物館に収蔵されています。しかし、県立図書館へ移管された時期については第10冊「犯科帳」と年号未詳「犯科帳」では違っているようです。第10冊「犯科帳」には「大正六年一月十九日 長崎県庁ヨリ引継」の印が押されています。一方、年号未詳「犯科帳」については、県立図書館に残る古い台帳によると、昭和10年7月2日付けで県庁から移管されています。両者が別々に県立図書館へ移管されたことからすると、県庁で保管されていた時から分かれていたと考えられます。もしかするとこの年号未詳「犯科帳」と第10冊「犯科帳」は、江戸時代以来百数十年ぶりに同一冊子と認識されたのかもしれません(画像4:年号未詳「犯科帳」と第10冊「犯科帳」を重ねてみました)。(おわり)
【長崎県文化振興課 石尾和貴】
Estimating When Undated Hankacho Were Created [2]
E:第10冊の本文を見ると、事件番号(資料左上の朱書きの部分)が「四」からはじまっています。番号「一」から「三」までしかない年号未詳「犯科帳」と、番号「四」以降しかない第10冊「犯科帳」。事件番号からするとこの両者には連続性がありそうです。さらに両者をくらべて見ると、資料のサイズはほぼ同じ、書かれている文字もほぼ同じ筆跡のように思えます。ますます同一冊子の可能性が高くなってきました。
「犯科帳」は江戸幕府が倒れ長崎奉行所が崩壊したあと、長崎県庁で保管され、その後県立長崎図書館へ移管、現在は長崎歴史文化博物館に収蔵されています。しかし、県立図書館へ移管された時期については第10冊「犯科帳」と年号未詳「犯科帳」では違っているようです。第10冊「犯科帳」には「大正六年一月十九日 長崎県庁ヨリ引継」の印が押されています。一方、年号未詳「犯科帳」については、県立図書館に残る古い台帳によると、昭和10年7月2日付けで県庁から移管されています。両者が別々に県立図書館へ移管されたことからすると、県庁で保管されていた時から分かれていたと考えられます。もしかするとこの年号未詳「犯科帳」と第10冊「犯科帳」は、江戸時代以来百数十年ぶりに同一冊子と認識されたのかもしれません(画像4:年号未詳「犯科帳」と第10冊「犯科帳」を重ねてみました)。(おわり)
【長崎県文化振興課 石尾和貴】