On Tanaka Kihei, the master of Kantsutakan (5)

Donated Photo: Photo Donated by the Chinese Charity for Earthquake-Devastated Japan

●「中国協済日災義振会」は、大正12(1923)年9月1日に起きた関東大震災に際して上海で組織された日本救援のための組織です。日災とは関東大震災を指します。関東大震災に際しては、日中関係がぎくしゃくしていた中国でも関心が高まり、救済のための活動がすぐに始まりました。後には震災の混乱の中での中国人惨殺事件が伝えられるとその事件が外交問題となりますが、当初は各地でこのような救援活動が行われたのです。

 

●この写真は震災のすぐあとに上海総商会(財界人)によって組織された義振会のメンバーが集まり撮影されたもののようです。会の中心メンバーについて、人物特定することも可能ではないでしょうか。

●この写真が勝田館主人の田中喜平氏へ贈られたということは、この組織に何らかの関与をしたことが考えられます。もしかしたら、最前列には数人の日本人と思われる人物が写っていますので、その中の一人が勝田館主人である可能性もあるかもしれません。

 

この活動がきっかけで、すぐに日中関係が好転するという状況ではなかったようですが、関東大震災の時に、中国からの支援活動が行われたことは記憶にとどめておいていいことでしょう。

※「義振会」は「義賑会」とも表記されるが、ここでは写真の添え書きの名称をそのまま記す。「馬千里日記考(2)」(浜口允子、放送大学研究年報25)など参照。

 

【長崎県文化振興課 山口保彦】