キリシタン文化編4「マリア像」が見た奇跡の長崎


禁教下、幕府は「絵踏み」などでキリシタンを取り締まるが、彼らは潜伏組織をつくって信仰を守り通した。開国後の1865年、来日した宣教師のまえで、ついに250年の時を経て浦上村のキリシタンが信仰を表明する。明治政府になっても信仰弾圧は続き、「浦上四番崩れ」をまねくことになるが、世界の批判をあびた日本政府はキリスト教を黙認することに・・・。

 

旅する長崎学4 キリシタン文化IV 「マリア像」が見た奇跡の長崎 目次

[巻頭特集]「サンタ・マリアの御像はどこ?」
第1章 浦上キリシタンとパードレの出会い「信徒発見」
第2章 信徒発見以後の悲劇「浦上四番崩れ」
第3章 キリシタン禁制の終焉 浦上キリシタン「旅」からの帰還
●寄稿 デ・ルカ・レンゾ「信徒発見ニュース」とその影
[特集II]浦上キリシタンはなぜ250年も信仰を守り通せたのか
第1章 長崎奉行と鎖国下の支配体制 地役人の役割と組織
第2章 江戸幕府のキリシタン取り締まりシステム
第3章 犯科帳にみるキリシタン関連事件簿
●寄稿 本馬貞夫 長崎奉行とキリシタン取り締まり
第4章 シドッチ事件と新井白石
[特集III]禁教時代の長崎の町人と事件
第1章 キリシタンの里、浦上村の誕生 領地の変遷
第2章 潜伏期の浦上村の知恵 キリシタンの潜伏組織づくり
第3章 秘匿! 信仰と組織を守り通すための生活の知恵
第4章 迫りくる弾圧の嵐 浦上の「崩れ」
●寄稿 水浦征男 「浦上四番崩れ」について
[特集IV]大村、外海、五島での弾圧
第1章 大村キリシタンの弾圧「郡崩れ」
第2章 外海キリシタン物語
第3章 遠藤周作と外海 キリスト教文学
●寄稿 下野孝文 遠藤周作と「かくれ切支丹」
第4章 五島のキリシタンと信徒発見後の迫害
[特集V]平戸・生月のかくれキリシタン
第1章 生月かくれキリシタンの伝承信仰
●寄稿 宮崎賢太郎 カクレキリシタン幻想
●資料館めぐり

 


[巻頭特集]「サンタ・マリアの御像はどこ?」
サンタ・マリアの御像はどこ?
潜伏250年から“復活”!長崎での「信徒発見」
浦上キリシタンが世界史に登場した「世紀の事件」の全貌
世紀の「信徒発見」の瞬間再現

[特集II]浦上キリシタンはなぜ250年も信仰を守り通せたのか
「信徒発見」にいたるまでの250年間、浦上のキリシタンたちが、厳しい弾圧や迫害の嵐、殉教の悲劇などを乗り越え、かたくなに守り通した信仰。潜伏時代を耐えぬいた苦難の事件史を時代をさかのぼって検証する。

[特集III]禁教時代の長崎の町人と事件
幕藩体制が確立してから貿易都市「長崎」の町にもキリシタン禁制の時代がつづく。「懸賞訴人制度」や「絵踏み」などの制度が設けられ、長崎奉行所が取り締まった。

[特集IV]大村、外海、五島での弾圧
江戸幕府の政策転換の波に飲み込まれながらも、ひたむきに信仰を守り通したキリシタンたち。鎖国後、先祖から伝えられた信仰を支えに潜伏の過酷な時代を生き抜いた。時代に翻弄された大村、外海、五島の潜伏キリシタンの歴史をたどる。

[特集V]平戸・生月のかくれキリシタン
小西マンショが殉教した1644年から1873年の禁教令撤廃までの間、キリシタンであることを隠し、仏教を強要されながらひそかに信仰を守った潜伏時代の信徒を「潜伏キリシタン」とよぶ。1873年以降、宗教の自由が認められて、潜伏キリシタンからカトリック教会に戻った人々を「復活キリシタン」、1873年以降も潜伏時代とかわることなく寺や神社と関係を保ち続ける人々を「かくれキリシタン」とよび明確に区別することができる。