近代化ものがたり編III「西洋と東洋が出会った長崎居留地」

 


安政の開国によって長崎港が再び開港され、長崎の町には外国人のための居留地がつくられました。長崎港と長崎居留地の存在は、幕末から明治にかけて海外の最新技術や設備が導入され、あらゆる分野において日本近代化に影響を与えていきました。東洋と西洋が出会った長崎の居留地を舞台にした異文化交流の物語を紹介します。

 

旅する長崎学9 近代化ものがたりIII 西洋と東洋が出会った長崎居留地 目次

[巻頭特集] 居留地を舞台に活躍した異国人たち
第1章 トーマス・ブレイク・グラバー 日本の近代化に大きな足跡を残す
第2章 フレデリック・リンガー 長崎での外国貿易の第一人者として活躍
第3章 ウィリアム・オルト 製茶事業で巨額の利益を得る
第4章 ウォーカー兄弟 日本の海運業と居留地の実業界で活躍
◆寄稿 本馬貞夫「平松儀右衛門の居留地見聞記」
[特集2]長崎居留地の整備から近代化がはじまった
第1章 長崎居留地はこうして完成した! 港を埋めた3回の造成工事
第2章 古写真で見る明治期の長崎居留地 明治初期と中期の町並み発達の比較
第3章 いまの長崎で外国人居留地の面影をたずねる散策コース
第4章 外国人の技術遺産 伊王島灯台建設と金星観測
[特集3]唐人屋敷の中国人、新天地の外国人居留地へ
第1章 安政の開国で唐人屋敷は撤廃 大浦居留地そして広馬場・新地へ
第2章 長崎に根づく中国文化 交流の歴史が生んだ食や祭り
◆寄稿 陳東華「長崎華人社会の形成と変遷について」
[特集4]長崎の国際墓地に眠る20カ国1500人の人々
第1章 墓碑は静かに語りかける 長崎に眠る人々の知られざるドラマ
第2章 大浦国際墓地 無名の船員たちが多数眠る
第3章 稲佐悟真寺国際墓地 長崎最古の中国人墓地からロシア人墓地まで
第4章 坂本国際墓地・新坂本国際墓地 居留地全盛期に活躍した人々
◆寄稿 石尾和貴「古文書から見た外国人と長崎居留地」
[特集5]長崎居留地時代に生まれた“恋愛物語
第1章 世界に長崎の名が知られたオペラ「蝶々夫人」
第2章 フランス海軍士官の実体験から生まれた小説「お菊さん」
第3章 居留地時代のロマンス 本当にあった恋愛物語
◆寄稿 ブライアン・バークガフニ「長崎居留地に残る実話の恋愛ドラマ」
[付録] 
■長崎居留地なんでも辞典
■長崎居留地における国別人数
■旅ながマップ・関連施設データ

 


[巻頭特集] 居留地を舞台に活躍した異国人たち
  長崎崎港を見下ろす南山手・東山手の丘には、日本での事業成功を夢見て、はるか海を渡りやってきた異国の商人たちの邸宅が次々に建てられた。日本の近代化に大きく貢献した冒険商人たちの活躍ぶりや、明治初期の華やいだ居留地の繁栄の記憶をたどる。

[特集2]長崎居留地の整備から近代化がはじまった
  1859年に長崎港が開港されると、条約にもとづいて東山手・南山手を中心に外国人たちのための居留地が形成され、ここに住んだグラバーなど外国人たちの手によって、海外の最新技術や設備が日本に導入された。時代とともに移りゆく居留地の様子をたどる。

[特集3]唐人屋敷の中国人、新天地の外国人居留地へ
  唐人船の入港が許されていた長崎の市中には、来航した中国人たちが雑居していたが、密貿易やキリスト教取り締まりのため、1689年には唐人屋敷に集められた。安政の開国以降、中国人の大半は、大浦の居留地やのちにできる広馬場や新地へと移り住んだ。

[特集4]長崎の国際墓地に眠る20カ国1500人の人々
  長崎崎市にある3カ所の国際墓地には、中国人、オランダ人、ロシア人、イギリス人、アメリカ人など、20カ国1500人を超える人々が永遠の眠りについている。これらの墓碑群は、海外交流で繁栄してきた長崎の歴史の一面を静かに語りかけてくるようである。

[特集5]長崎居留地時代に生まれた“恋愛物語”
  明治治期に繁栄した長崎居留地の存在は、外国人居住者が増えていくにつれて、外国人男性と日本人女性のあいだに数々の恋愛物語を生んだ。そのなかから、日記や逸話をもとにした小説や演劇、オペラなどの作品がうまれ、世界中に伝わっていった。