海の道編III 五島列島「万葉と祈りの道」

 


青い空、碧い海、蒼い山 – 。
五島列島の自然は、人々の様々な想いを受け入れ、包みこんできた。
中国大陸と日本列島の間の大海原に浮かぶこの島々は、東アジアにおける海上の交差点。
海人たちが行き交い、文化が交流した。
万葉の都人にとって、五島列島はあまりに遠く、この世の果てとも思われる世界だった。
人々の祈りは、祭りや伝説として生き続ける。
キリシタンの心を密かに隠し、海を渡ってきた人々のたゆまぬ信仰が今も息づく五島列島。
津々浦々に佇む教会堂が訪れる人を優しく迎える。
さざ波が絶え間なく時を刻みながら、五島列島の物語をいまに伝える。
旅人を島々へと誘うかのように・・・。

 

旅する長崎学13 海の道III<五島列島> 目次

[序章]五島列島 4つの物語

◆五島列島へのアクセス
◆五島列島のすがた・エリアマップ

[往来の物語]海道のジャンクション
現代によみがえる遣唐使の道
海底遺跡が物語る国際貿易港
海を行き来した人々の足跡
五島統治のルーツを探る
◆五島列島 支配者の系譜
◆鳥が旅立つ五島・大瀬崎
◆寄稿:地の果てか、交通の要所か(細井浩志)
[祈りの物語]祭りと伝統の島を訪ねて
宇久島に残る伝統と祭り
捕鯨で繁栄の有川
天平の甍の面影を巡る
◆五島列島の祭り
◆近代化の夢を海に託した坂本龍馬ら幕末の志士
[キリシタン物語]自然と信仰が織りなす風景
五島キリシタンの歩み
教会堂が伝える信仰の奇跡
五島列島の教会堂
◆昭和6年のキリシタン日記
◆寄稿:新天地を求めて(大石一久)
[五島ブランド物語]五島の食探検
西海の鮑と鯨
ミネラルたっぷりの塩
五島がうどんのふるさと
食べてみんかな、島の味
椿の島・五島
◆寄稿:かんころ餅と祈り(高木龍男)
◆五島弁がわかっかな?
◆資料館めぐり

 


[往来の物語]海道のジャンクション
  危険が伴う東シナ海の航海は命がけの旅。まるで日本と大陸とをつなぐ鎖のように位置する五島列島は、まさに「海の道」のジャンクション。そこには海を舞台に活動する人々のドラマがあった。

[祈りの物語]祭りと伝統の島を訪ねて
  大陸への果てしない旅路に向かう人々を守り続けた五島列島。この土地に根づく「祭」は厳しい自然の中に身をゆだねた人間たちの祈りの形ともいえる。空間と時間を超えて、歴史を伝えてくれる祭りを探して、旅に出かける。

[キリシタン物語]自然と信仰が織りなす風景
  五島列島を旅すると、自然や人々の暮らしの中で、そっと包み込んでくれるような教会の優しさに出会う。世界でも稀な歴史を刻んできた日本のキリシタンたちの歩みを、心で感じることができる。

[五島ブランド物語]五島の食探検
  五島ブランドは、まさしく島の自然や人々の生活の知恵がはぐくんだ逸品。旅のおみやげに、贈り物に、いま全国に注目される五島ブランドを紹介する。